世の中にはいろいろな不始末があって、穴を掘って埋めてしまいたいと思うこともありますよね。企業がデータ捏造などの不正を働いて、組織ぐるみで隠ぺいしたなんていうニュースもありました。恥ずかしいことは隠したいという気持ちはよくわかります。
それらのニュースと比べると大した隠ぺいではありませんが、同僚から10年くらい前にもらったゴヨウマツの株立ちの枝が枯れてしまったので、何とかごまかそうと手を加えました。
今年の夏の記録的な暑さが影響したのか、枝3本が枯れました。そこで、枯れた枝の樹皮を剥いて白骨化した状態にしました。白骨化した部分を盆栽用語で神(ジン)と舎利(シャリ)といいます。ジンは枝先、シャリは幹の白骨化です。
自然界でも落雷や積雪などで、枝や幹が倒れたり折れたりして、その一部が白骨化する場合があります。盆栽では、その姿を人工的に作ります。本来は、生きている枝や幹に細工をすることですが、今回は枯れてしまった枝を使いました。
生きた枝の樹皮を剥くのは簡単なのですが、枯れた枝の樹皮はなかなか剥けないので飲みで枝そのものを削りました。その後、石灰硫黄合剤で防腐処理をしました。
石灰硫黄合剤は、防腐効果に加え乾くと真っ白になりジンが完成です。そうすれば、見た目では、枝を枯らしたことが隠せます。この木もかなりの樹齢だと思いますが、四方に枝が伸び大きくて置き場に困るので、少しずつ切り詰めてコンパクトになるように作業をしてきました。
しかし、毎年毎年いじめるようなことをするより、いっぺんに針金で中央に寄せて高さを抑えるような思い切った改作をした方が木にとっては負担がないのかもしれません。今後の作業は、盆栽愛好会の先輩たちの意見を参考に進めていきたいと思います。